デング熱と解熱剤

ここ最近、蚊に刺されて感染する「デング熱」に関する報道が数多くなされていますが、先日『「デング熱」になった時に、安易に解熱剤を飲むと重症化する可能性がある。』との発表がありました。

「デング熱の時にアスピリンなどの解熱剤を飲んではいけない。」と単純に片付けてしまっても良いのですが、もう少し掘り下げてみたいと思います。

デング熱は「急な発熱」や「目の奥の痛み」、「筋肉痛」などを伴って発症する病気ですが、体内からウイルスが消失すると症状が消失する、予後は比較的良好な感染症です。しかし、希に患者の一部に出血症状を発症する(デング出血熱)ことがあり、その場合は適切な治療がなされないと、致死性の病気になります。

では、何故「デング熱」の時にアスピリン等の「解熱剤」がダメなのでしょうか?

市販されているものも含めて多くの「解熱剤」は熱を下げると同時に、腎臓の血流を減らしたり、血小板機能に影響を与えることが知られています。通常の風邪などでは大きな問題にならないのですが、デング熱で血小板が減少している時には、「解熱剤」の血小板に対する影響で血が止まらないなどの大きな問題を引き起こす可能性があるのです。

決して「デング熱」が「解熱剤」を毒に変えているのではありません。

「デング熱」以外の発熱の時でも「解熱剤」は出血の原因になり得ることを知っておかないと、消化管潰瘍のある人が「解熱剤」を飲んだ後に出血してしまうこともあるのです。

「解熱剤」の名誉のために書きますが、「血液サラサラ」(この言い方はあまり好きではありませんが)のために「アスピリン」を服用されている方は、まさにアスピリンの血小板機能抑制効果を期待して投薬されているのです。

「アスピリンは解熱剤なの?血液サラサラ薬なの?」と聞かれそうですが、「アスピリンはアスピリンで、必要な効果だけを取り出して使うことは出来ないのです。」

御自身の飲まれている薬がありましたら、「どんな薬?」と興味を持っていただけるとありがたいものです。

 

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